2019-01-01から1年間の記事一覧

昼下がり

ややかための本を一冊、ざっくりととはいえ昼すぎから夕方までで読むと、まあなかなか疲れますね。

シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵』岩波文庫

少女終末紀行の作者さんがツイッターにこの表紙カバーのワンカットを投稿したのを目にして、読んだ記憶がないのはなぜだろうと気になり、半日ほど考えた末に、『重力と恩寵』だからだと気がついて、徒労感を覚えました。 カバーに記されている「絶え間なく人…

11/24 文学フリマ

11/24 文学フリマ 【キ-30 ギルドてすさび】 自分が書いた物についていくつか説明というか紹介というかをしておきます。 題字とカットをかいていますので、トレンドに棹さした私なりのゆるいイラストもお楽しみください。 ・地に足がつかない 第三回 道具そ…

ゆずをもぐ

柚子というのはおもしろい植物で、その実は青かろうと熟していようと使えます。柿はそうはいかない。 さらにあの棘があるために極めて扱いづらい。すごく扱いづらい。なにがすごいって実が膨らんでいくにつれて自身の棘に突き刺さっていく。見ている方の心持…

『方形の円 偽説・都市生成論』

ギョルゲ・ササルマン『方形の円 偽説・都市生成論』住谷春也・訳、東京創元社、2019 50ページほど読み進めて、なんとなく見知った古くささだなと思いました。悪い意味ではなく、既視とか既知とかではあるものの思い出せない感覚。カバーの著者紹介を見れば…

11/24 文学フリマ 配置

場所が決まったようです。 【2019/11/24(日) 第二十九回文学フリマ東京】 出店名 ギルドてすさびブース キ-30 イベント https://bunfree.net/event/tokyo29/ (於 東京流通センター 第一展示場) 去年に引き続き、主に次のようなもの4つを書きました。 ・地…

いろいろ

・ヴェイユ『神を待ちのぞむ』について 河出書房から「須賀敦子の本棚」という池澤夏樹監修のシリーズが刊行されていて、それぞれおもしろいです。 その案内の中に、新訳でヴェイユが6月刊予定とあったので楽しみにしていたのですが、いつまで経っても並ぶ気…

レイ・ジャッケンドフ『思考と意味の取扱いガイド』

レイ・ジャッケンドフ『思考と意味の取扱いガイド』岩波書店2019 一通り読んだだけなのであまり深いことは言えない(せめてじっくりともう一回ぐらい読みたい)ので、真ん中あたりでわかりやすくおもしろいところのメモを。 p152-153 ・「実際、視知覚は言語…

『進撃の巨人』 その2

話題になっている物を見ていたり、とりあえず飛び乗ってみたりすると、おもしろいものを垣間見られる(*1)のがいいところです。 「エレンポイント」概念を見ることができたのは良かったと思います。派生でユミルポイントまで出てきたではありませんか。おも…

『進撃の巨人』

『進撃の巨人』 せっかくの機会ですから読んでみました。 連載開始時、女型巨人登場時、ミカサヒロイン時あたりに読者の方々が盛り上がっていたのが記憶にあります。それぞれ、「なるほど、巨人か」「男がいれば女もいるのか」「おー、盛り上がってるねぇ」…

トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』高里ひろ・訳、みすず書房、2019

読み終えて思い返せるポイントをぶっこ抜くと、 ・「左利きの殺人鬼は証拠だが、右利きの殺人鬼は例外」 ・間違った民主主義(専門家の意見も素人の意見も等価なひとつの意見である、など) ・証拠がないことが証拠(陰謀論の柱。反証性という要素) ・専門…

映画「アローンインザダーク」

見た後に調べたら、どうも同名のゲーム(バイオハザード系統のゲームだそうで)を元に展開して制作された映画だという情報を得られましたが、どうなんだろうなというのが偽らざるところです。 最初は古代文明と「力」との接触というような進行をしていたので…

映画「アサインメント」

先日、所用で留守番をおおせつかっていた間にケーブルテレビを見たら、なんか見たことがあるような尋問拷問シーンだと思っていたら、なんと実際に見たことのある映画でした。記憶とはいいかげんなものです。 マフィアの親玉に瓜二つの米兵(それが原因で尋問…

どういうおいしさを求めるか

青井博幸『ビールの教科書』講談社、2019 学術文庫にはたまにこういう類いの物が含まれるので、おもしろいというかなんというか。 そもそもビールとはというところから始まり、ヨーロッパにおけるビール発展の歴史を記述し、日本のビールと業界と財務省とが…

負けられない戦い

今日の王位戦。 確実に手堅く安全に詰ませられそうもないというところで、大駒3枚15点の利を生かして入玉模様に転換した判断は間違ってはいないでしょうし、もっと賞賛されてもいいと私は思うのです。今日負けたら、1-3で後がないので。 負けられないのは防…

隣の棚

ヴェイユとボンヘッファーとでは、私はヴェイユの方が好ましい。ボンヘッファーがダメということではなく、ヴェイユの方がシンパシーを持ちうるということで、その理由の一つにはヴェイユが少なくとも教会に属そうとしなかったことが確実に数えられます。集…

けぶり

風習はあちこちで異なるものですが、お盆はする相手と場所があるのなら、おおむね送り迎えをするものでしょう。 昔(幼少の頃)はお墓(送りは家の前)でわら(厳密にはわらではないにしても、わらっぽいものはわらで通じるし、各々が文脈で認識できる)を燃…

朝顔

今年は生長がすこぶる良好で、葉はもはや向こう側が見えぬ藪のようになりました。支柱のない場所へ飛び出た蔓たちは互いに巻きあって支えになっています。花の数も増えました。 立派なものです。

はこもの

本郷恵子『院政 天皇と上皇の日本史』講談社現代新書、2019 近頃、なにかと話題の新書形態であり、これまた別の方面からもなにかと話題の天皇(家)についての本。院政と銘打たれてはいますが、それを理解するにはその前後を踏まえないと効果半減なので記述…

ボンヘッファー

宮田光雄『ボンヘッファー 反ナチ抵抗者の生涯と思想』岩波現代文庫、2019 まえがきに「日本におけるドイツ現代史への関心の高さにもかかわらず、ボンヘッファーの名前は、かならずしも一般読者にはよく知られていないのではないかと思われます。」と書かれ…

百科全書、サド、アントワネット

キャロリン・パーネル、藤井千絵(訳)『見ることは信じることではない 啓蒙主義の驚くべき感覚世界』白水社、2019 当時の文化や世界認識についての本。なお、軽め(重め?)の18世紀ヨーロッパトリビア集に擬態しているとも言えます。それ目的で読んでも楽…

チーズケーキ

先日ほぼ初めての喫茶店で食べたチーズケーキがおいしかったです。チーズケーキらしさを排除しつつ、しっかりとチーズケーキであるという素晴らしいものでした。 コーヒーもおいしかったので、また行ってみようと思っています。

朝顔の茎

紐をかけたほうがいいのかどうか難しいところだった茎が今日の強風で曲がってしまいました。

朝顔

朝顔を育てています。育てているというか世話をしているというのが適切でしょう。竹やら麻紐やらをせっせと用意する。 ことしは天候がよかったのかなんなのかはわかりませんが、低いところは小さなジャングルのようになってしまい、上へと誘導したら私の背丈…

古代ギリシャ

マッシモ・ピリウーチ、月沢李歌子(訳)『迷いを断つためのストア哲学』早川書房、2019 早川書房については、ミステリーだとかSFだとかをまず第一に思い浮かべる人が多いでしょう。その次に来るのが、主に自然科学系一般向け翻訳物群だと思います。これは哲…

ユーザーインターフェイスの話

ブラウザ版のUIがとんでもなく使いづらいという声が多く聞こえたので、どんなものかと触ってみれば、まことに使いづらい。どこもかしこも同じさえずりばかりなのも納得です。 3カラムにしておきながら、それぞれのサイズバランスが珍妙すぎることが使いづら…

句歌かくかく

上野貴子、江畑哲男『違いがわかるはじめての五七五俳句・川柳上達のポイント』メイツ出版、2017 俳句と川柳。 川柳はともかくとして、俳句はなかなかに短すぎて苦労するというのが私の立ち位置です。季語がね。 千種創一『砂丘律』青磁社、2015 短歌。 裏表…

燎原の火

>> ところが、現実はまったくそれと逆のようである。戦後一時期燎原の火のごとき勢いで日本史ブームがおとずれ、そのなかで大発行部数を持つ啓蒙書が流布されたが、これらを含めて歴史書の田沼意次(父子・兄弟)に関する部分を見ると、前記のような配慮が…

ネスト

どうにも今年は蜂の巣がよく建築されるもので、なかなか憂うことが多い。 蜂の巣も人間の住宅と似たようなもので、造り始めたらあっというまに落成となりかねないので、たいへんです。 そうはいっても、ジェット噴霧とか便利なものが製造されているため、危…

鹿

田中淳夫『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』築地書館、2018 奈良(公園)の鹿をメインに、現状と歴史が記述されています。象徴、祭儀、観光利用とか、あるいは戦後の林野業政策(の失敗)の影響とか、食害が発生する要因とか、最近の話題だとジビ…