上野、藝大、顔真卿

 長くなるので、顔真卿展について先に書いておきますと、なんとなく興味があるのであれば、行って損はしないだろうと思います。かなり簡略化しますが、詳しくはのちほど。

 

   芸大の卒展がやっている、加えて、顔真卿展ということで先日は朝から上野公園へ行ってきました。

 だいたいはいつも乃木坂の新美にばかり行くので上野はほぼ未踏地です。アウェー。

 動物園の開園待ちでこんなに並ぶの? と到着してかなり疑問を抱いていたのですが、それを話したらパンダがいるということを示唆されたので、なるほど、パンダかと納得。 これもまた多摩動物園がほとんどなもので。

 

   もう終わってしまったのでざっくりしたことを書き残しておくと、グラフィカルなものは強いなぁというのと、カロリーは強いなぁというのと、いろいろ仕方のないことはこちらとしても酌むけれども、もうちょっと展示場所をまとめてほしいなぁというあたりでしょうか。新美の五美大合同がとてつもなく便利であるというのがしみじみと。

   そして、こちらの方がより重要な点なのかもしれませんが、卒展を観ると自分もなにか創りたくなるのがなんともにんとも苦労するところです。たとえば中野ゆりかさんの「絵のない絵本」に触発されて、廃ガラスが6枚ぐらいあったなぁと材料を選定し、別の焼き物を観れば窯が欲しいなぁと思いますし、部屋の一角を占領する作品の素材の使い方にしても、ああごにょごにょと歯ぎしりをする。観るだけでも闘いなのです。

  

  午後は顔真卿。こちらは人と一緒に。東京国立博物館によく行く、書道はほぼさっぱりな人と博物館ビギナー、書道とりあえずのわたくし。融通の利くリビング音声ガイド(初級)ですな。

 

  というかですね、いちおう軽く下調べのようなことはしましたが、会場で出品目録をあらためて見て、これはほぼオールスターだよねぇと、ありていに言えばやばい。目玉展示が顔真卿なので広報はそこを推していますが、実態は名跡で見る書風の歴史です。入ってすぐの展示が説文解字(国宝)。入ってすぐにそんなもの置いちゃダメ、渋滞するでしょうが(笑)

   お手本用の複製本でよく見る作品・筆者がごろごろしていますし、変化球として逍遥楼三大字や則天武后筆なども。逍遥楼は、文字通りでかいのですが、いい字ですよ、とても。

 後半になると日本の人も並んでいます。伝嵯峨天皇とか。

   

   中途半端な知識がたたって草書が変体仮名に見えて困ったとこぼしたら、「順序が逆なのはわかっているけれど、小ぶりの活字みたいな字が並んでいるがおそろしい」と鋭い感想が聞けて、誰かと一緒に観ることのいいところはこういうところよとしみじみ。

  わたしは会期中にもう一度行った方がいいのかもしれません。