拓本とかの話
特別展の話のつづき。
古い物ほど現物ではなく拓本である率が増します。石碑はいたしかたないですし、現物がすでに壊れているということもある。
私たちの前を歩いているお二方が拓本の取り方を話していたらしく(私も、なにか話しているなとは気付いていましたが)、我が同行者が訊いてきました。
同行者「……石碑に墨を塗るんですか……?」
私「!?」
どうも前のお二方の話を忠実に実施した場合、紙に写されるのは反転してしまう。そんな馬鹿なと混乱した様子。
私「(十円玉の上に紙を載せて鉛筆で撫でると模様が浮き出るという話を、動揺したためにだいぶ回りくどく説明)」
同「ラビングですか」
私「はい。理屈というか考え方は。元の物に塗ることはまずないです」
直接塗布するのは、絶対に食用にしないとわかっている簡易な魚拓ぐらいでしょう。
細かいことをいえば、乾式ではあまりきれいに取れないので、展示されている物のほとんどは湿式でしょう。写し取る紙や布を濡らして、さらに叩いてより密着させる。
石に彫られた字を持ってきたいるわけですが、まずその石に彫ってあるという点からして、なかなかに驚異です。石を彫れる筆があったわけではないでしょう(そんなものがあったら、スマホどころの騒ぎではない)。