エステル・デュフロ『貧困と闘う知 教育、医療、金融、ガバナンス』みすず書房

 

 これらの記述を見かけたから読んだというわけではないものの、どちらもそうだよねとなる。同時に、こういう話になるとヴェイユがそこそこの割合で出てくるのはどうなんだろうなとも思う。

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ちなみに、デュフロ氏の母は小児科医、父は有名な数学者である。デュフロ氏は、自分が内戦下のチャドではなく、パリでプロテスタント左派の中産階級の家庭に生まれたこと、その事実がまったくの偶然にすぎないことに、子どもの頃から責任を感じていたのだという。彼女のまっすぐな献身の情熱は、著作『根をもつこと』で知られているフランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの思想を想起させる。(p185)

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本書には良心的社会改革者の「上から目線」、すなわち「あなたたちに必要なことは、私たちのほうがよく知っています」というテクノクラート的な態度を感じさせる部分も多い。しかし、デュフロ氏の構え方が非常に興味深く思えるのは、常に「現場」とともにあろうとする献身と粘り強さ、そして実験と試行錯誤を繰り返しながら真実に到達しようとする求道者的な情熱が、社会科学者の冷徹なロジックと分かちがたく結びついているところである。(p195-196)

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 内容は、新薬の臨床試験のようなランダム化比較試験を社会科学の分野でも活用しようとする場合どうなるかというのが副題の4分野について書かれている。