ミシェル・テヴォー『誤解としての芸術 アール・ブリュットと現代アート』ミネルヴァ書房

 

ミシェル・テヴォー『誤解としての芸術 アール・ブリュット現代アートミネルヴァ書房


 まったくもって世間は「誤解」だらけでござるとぼやきたくなる時もある。どこの領域でもそれは同じでしょう、たぶん。


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 実際、モリエールの同時代人は彼の創造した人物の不道徳性を彼自身のものとして非難した。中世の聖史劇[宗教劇]の観客が、劇の上演が終わったあと、ユダを演じた役者につかみかかったのと同じことである(一七世紀には道徳を弄ぶのはまだ御法度であった!)
p8
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 誤解という語がやや強すぎるなら、「シュレーディンガーの量子箱のなかの猫」(p94表記)問題のようなイメージに置き換えるのもありかもしれない。確定と不確定。
 170ページほどの分量ではあるものの、内容は密にして丁寧なので、読み応えがあります。

 

 

 

 本には誤植が含まれるのコーナー。
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p88 新
 逆に新の即興家はもっとも狡猾かつ迅速な計算をする者であるということを意味するのである。

p176 強土
醜さが美しさに変わる表現の強土の境目が存在するのである。
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