2019-01-01から1年間の記事一覧

あれがこれ

有元裕美子『スピリチュアル市場の研究』東洋経済新報社、2011 8年も経っていると記されていることがやや古いかもしれないと感じることもありますが、スピリチュアルの括りで括れるものについては一通りまとまっているので概括として便利でしょう。各種の現…

映画

三島憲一『ベンヤミン 破壊・収集・記憶』 岩波現代文庫、2019 思うに、よく言われるベンヤミンのわからなさやわかりづらさは、神秘主義方面ほかの影響で、言ってしまえばなじみがないことに起因するのではないでしょうか。良し悪しや有意かどうかはともかく…

When William Came

国書刊行会から"When William Came"が出るということなので、みんな買おう。 https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336063564/ ウィリアムが来た時サキ 著深町悟 訳 発売日 2019/06/25 判型 四六判 ISBN 978-4-336-06356-4

虚言

>> 首尾一貫しない一つの虚言が首尾一貫した虚言に敗れたにすぎないのだ。 << 文脈をまるっと投げ捨ててもこの一節はとても引用したい便利なものだと思います。そして、なにかある度に引きたい。 誰が書いたのかというとヴェイユで、冷徹と諦観が混ざっても…

ふたつのきもち

>> 文字に拘束された現実の教会や司祭よりも、聖霊によって鼓吹された人々を指導者とすることが異端にならないはずがない。聖書に記された御言を学ばずに、聖霊の導きのもとに、直接的に神に至ろうとすることは、狂信、熱狂主義につながるのだ。中世に於いて…

ぼのぼの

『ぼのぼの』(木登りの話あたりまで)を読み返しておりまして、なつかしいねぇとしみじみしています。 子持ちリスさんは良いキャラですね。

論理学届くにんじん

もちろん「論理学と毒にんじん」が元々意図していたものです。うっかり変換してしまってくすっとしました。 古典哲学を必修に、というような趣旨の文言を先日見かけて、気持ちはわかるけれどもそれはとてもまずいだろうし、それを言うなら記号論理学(初級)…

護教、愛国、ヴィーガン

>> 確かに、西洋中世の哲学は、日本においては馴染みのうすいキリスト教カトリック神学の本丸であるばかりでなく、煩瑣な概念の過剰、無味乾燥の極地である。そこでは伝統的見解が羅列され、繰り返しが多く、明確な主張もなく、結論となると、場合分けがなさ…

あらすじを読む

古谷利裕『虚構世界は何故必要か SFアニメ「超」考察』勁草書房 本書におけるSFの定義はゆるゆるなので身構えなくてもいいし、あらすじや設定の概要も充分なので、竹槍で突撃しても心配はいりません。 興味を引かれるアニメが目次に載っていれば、その部分だ…

ヨハネ福音書の話とGoogleドキュメントを利用した校訂作業と

かいつまんで説明すると、現行のヨハネ福音書には原著者(に近い人々)の文以外に、第二著者(に近い人々)の文が混在しており、それらの取り扱いやすいテキストデータを作った。という話です。 付加部分のメモを片手に読むこともできますが、まあどうせなら…

本メモ

ブログを分けていましたが、そこまでわけなくともいいかなと近頃思い始めましたのでこちらで。 ・石田光規『孤立不安社会』勁草書房 多摩市のコミュニティセンターの例が3件紹介されていまして、だいたいそんな感じでしょうなという認識とかけ離れてはいなか…

ocrの威力

技術というか情報処理方法というかの進歩はめざましいもので、近頃は、およそ印刷書体であればまずまずの抽出変換ができるようになったので、ありがたいことです。投げ込んでおけば、出してくれる。そこまでやってもらえるんだから、整えるぐらいは喜んでや…

メモ

特にヴェイユを読んでいて全か無かだとか、0か1かというようなことを考えていると、以下の例示がとても有効だと私は思うのです。 信仰はある種の純粋さ、潔癖さ、ひたむきさを要求する。内面で完結しているあいだはともかく、これらが外に発露すると、排他、…

根をもつこと

昔読んだ本を読み返すにちょうどいい頃合いかもしれないので、いろいろと読み返しています。 その中の一山にある長野まゆみについても書きたいところですが、今日はヴェイユ。 行動については破天荒と分類してもよさそうな逸話がいくつもある(あるというか…

感覚

太陽の光、とくに午前中という指定をつけると、なんというかもうほとんど夏っぽい光だという印象を持ちます。実際は違うにしても、目と脳の調整がなかなかうまくいかない。つい先日に妙な寒の戻りがあったのも、拍車をかけている気がします。

仮名序マッチポンプ

久しぶりに読んだので備忘録。 >> 在原業平はその心あまりて言葉たらず しぼめる花の色なくてにほひ残れるがごとし << だとか、あるいは >> 大伴黒主はそのさまいやし いはばたき木負へる山人の花の蔭に休めるがごとし << だとか、 >> このほかの人々その名…

品詞から時間へ

品詞が変わると意味が変わる単語だとか、対象(目的)に応じて動詞を選ぶ必要がある(この動詞は人間を目的語に取れない、とか)だとか、そういう世界に時折ひたっていますと、当該言語の文化や社会がなんとなく想像できたりするような瞬間がたまにあり、そ…

品詞問題

「命令の令が入っている!」 「この令はその意味じゃねぇ!」 というのは、もうすでに数えきれぬほど繰り返されていると思います。 それはそれとして、vやnでの意味とaでの意味の乖離(のように思えるもの)は、どういう理由で生じたのかが、わたし気になり…

映画「帰ってきたヒトラー」

見る機会を逃し続けていたらたいぶ時間が経ってしまいました。 一番の妙手はドキュメントルポルタージュ風の作りにした点だと思うのです。小説はヒトラーによる一人称なので、文字では良くても、映像と音がくっついてくる以上、ブラックユーモアにするために…

文字、名前、字体

名前なり名字なりというのは、知っていればそれまでだし知らなければ推測はできてもどうにもならないというものでございます。固有名問題。 世の中にはそんなにのりかずさんやかずのりさんが、同じ漢字でいるのかという声をきき、さらには、「あの漢字はのり…

アニメ「上野さんは不器用」

ぶっ飛んだというかなにも顧みないというかな演技ができる役者さんはとても貴重ですね。 流れ次第でボケにもツッコミにもなりうるのでいろいろと見られるのも嬉しい。

POIのCM

思わず笑ってしまったので。 BGMだけを必殺仕事人からもってきて、それ以外は本編の組み合わせで作られているのですが、「正しくないけれども正しいCM」としか言い様がない。 https://www.nicovideo.jp/watch/sm24482006

物名、雑

ぞうと打って雑が順位の高いところに出ないというのが同音異義と変換を駆使する言語のつらいところだと思います。辞書登録しなければ出ないということにはなっていないのがありがたい。 またぞろ古今集を読んでいます。季節だの恋だのが主流であることに異論…

庭と茶室

顔真卿展の時にサイトを見ていて、庭園と茶室とがあるというのを知り、春の解放期間が来ていることを今日なにかのついでに知りました。 ついでに、茶室を借りられるということも知りました。 お茶に興味はあまりないのですが、句会にもと博物館から宣伝して…

一単語語法

海外ドラマの配信を見ていると、わりとばんばんdammだのhellだの連発しているものだと気づきます、****。作り物だからとも言えますが。 同様に、副詞一語の用法も数えていられない程度にはありふれています。みんなだいすき、exactlyほか。 字幕において…

礫岩

近藤和彦『近世ヨーロッパ』山川出版社、2018 世界史リブレットの一冊。ルネッサンス、神聖ローマ帝国、大航海時代、産業革命など。 Europa regina の絵を久し振りに見た。 統治体制や国家の状態を「礫岩(のような)」と表現しまくっているので、たぶん著者…

万年筆と安納芋

催事なので日本橋三越に万年筆を見に行ってきました。今シーズンのという点ではパイロットとプラチナの記念万年筆なのでしょうけれども、しかしあれらを普段使いにするならiPadを使い倒したほうがいいように思えてしまう。 パイロットの蒔絵は綺麗ですよ、さ…

新美、卒展

卒展の、部外者だったり門外漢(そのうち門外者とか門外人とかに変わるんでしょうか)にとってのいいところは、絵画やら彫刻やらを大量に見られるというところです。毎年のように申しておりますが、新美で五美大合同で開催されるので、とてもお手軽です。な…

コミティア、タロット

ふうらりと行ってきました。毎度同じことを言っているような気がしますが、あれだけの情熱が渦巻いているというのはすごいことです。 タロットの面に意味解釈を印字したものを作った人がいらっしゃいまして、「ああ、これはいい。特に初心者に心強い」と思う…

文体ととっつきやすさ

数日前に山月記についてあれこれとありました。現在の日本では、おおむね漢文の知識や接触が減じているので、その点からもいろいろと思うところのある人がいるようです。というわけで文体の話。 引用を一つ。 >> 最後に顔真卿を見よう。真卿が卒して後二十年…